2023年09月23日
小樽運河では、南端付近にある浅草橋で記念撮影をしてから運河沿いの遊歩道を歩き、中央橋あたりで観光を終了する方が多いのですが、小樽運河の本来の姿は、そこからさらに北に向かって伸びている「北運河」と呼ばれるエリアにあります。ここでは、従来の港湾としての役割を色濃く残し、作業のために停泊している船も確認できます。また、この界隈には「小樽市指定歴史的建造物」に指定された倉庫や建物も複数存在しますので、お時間のあるときにはぜひ中央橋からさらに北へと足を延ばしてみてください。
※2023年10月15日まで開催の「北運河ナイトマーケット」の詳細はこちら
中央橋を過ぎると観光客の数がグッと減るので、ゆっくりと散策が楽しめます。左側には小樽市の歴史的建造物に指定されている旧小樽倉庫(現:小樽市博物館/運河プラザ)などがあり、さらに進むと右手に月見橋が見えてきます。この橋の下を通ると、運河から海に出ることができます。
竜宮橋を過ぎたあたりからは運河の幅が広がり、開放的な雰囲気になります。昔ながらの運河の風情が味わえるエリアです。元々小樽運河は、全体を通して幅が約40mほどあったのですが、埋め立て論争の末、南側運河の片側を埋め立てて減幅し、道路が作られました。当初は全部埋め立ててしまう計画もあったそうなので、多少幅が狭くなったとしても、「運河を残す」という英断は、現在の小樽にとても大きな遺産を残してくれたと言えます。
さらに運河沿いを進むと、右側に旭橋が見えてきます。小樽市の観光パンフレットなどにも登場するフォトジェニックなアーチ橋で、季節によってはこの橋の向こう側の海に綺麗な朝焼けが見えることで有名です。さらに、右側にはノスタルジックな北海製罐の倉庫や工場が並んでいて、ここも撮影スポットになっています。
北浜橋を過ぎ、左側に運河公園と艀(はしけ)が見えてくると運河の北端に到着です。往時はこのような艀が沖に浮かぶ船と運河沿いの倉庫との間を行き来し、たくさんの荷物を運んでいたそうです。現在このエリアは観光客の姿もまばらで、とても静かなので、のんびりと運河を見渡しながら一昔前の喧噪を想像してみるのも面白いかもしれません。
北運河は片道約20~30分で散策できますが、中央橋付近を発着する運河クルーズを利用すれば、浅草橋から北運河まで手軽に周遊できます。また、浅草橋付近から人力車に乗るのもおすすめです。浅草橋や中央橋からは、運河の北端が見えません。せっかく小樽にお越しになるのでしたら、ぜひ運河の魅力を存分に堪能していただきたいので、北運河にも足を運んでみてください。
北端から見る小樽運河。右手の水面に浮いているのが艀です。