小樽情報
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小樽の坂道観光の前に、知っておきたいポイントとは

2022年01月26日

小樽は「坂の街」ということをご存知の方も多いはず。小樽の小高い丘から見下ろすレトロな街並みと海のコントラストは、港町ならではの情緒深い景色として小樽観光の人気を高めています。そこで今回は「小樽の坂道」について、ご紹介します。

 

港町には坂が多いって本当?

北海道なら小樽や函館、全国で見ると長崎や神戸、広島の呉など、港町には坂の多い街が多くあります。もちろん横浜など傾斜が少ない港町もありますが、やはり港町=坂のイメージが強いものです。

近年都市開発技術が発展し、比較的新しい港町は平地でも発展できますが、明治初期から歴史のある港町には坂が多い傾向にあります。

これには諸説ありますが「自然の地形を活かして、港町として発展したから」という説があります。船底が厚い大きな船を停泊させるには、海面からの深さが一定以上必要になります。一般的に岸壁のような急傾斜の港湾を作りやすい海岸線は、山からの傾斜があるのが特徴です。

また、砂浜の多い漁村、漁港のあるエリアでは、海岸線の近くに作業場や自宅があったほうが何かと利便性が高くなります。しかし、荒天時の安全性からみるとあまり平坦な地では住宅が危険にさらされる可能性も否めません。このため、海岸線から距離は近いものの、自然な傾斜がある程度あり、安心して生活できる街のほうが漁業に専念できるとされてきました。

 

小樽で行ってみたい坂道散歩コース 5選

小樽にはたくさんの坂がありますが、体力と時間に合わせた、5つのお勧め散歩コースをご紹介します。

 

1)まずは入門編:「中央通」「船見坂」

小樽駅からアクセスしやすい坂道を2つご紹介します。

◆中央通
小樽駅を出ると、すぐ目の前に「中央通」という道があります。ここは名のついた坂ではありませんが、小樽運河へ徒歩で向かおうとすると大半の人が通る道です。

まっすぐに伸びる道の向こうに小樽港や石狩湾を望むことができ、「小樽に来たんだな」という旅情が掻き立てられる場所です。

緩やかな勾配ではあるものの、約700mあり、運河へ向かうときは下りですが、帰りは上りのため、馴れていない人にとってはちょっと大変かもしれません。

 

◆船見坂
余裕があれば、中央通から大きな通り二本分西側にある「船見坂」へも欲張って足をのばしてみましょう。

1904年明治37年)の大火の後、防火帯として作られたのがこの坂の始まりだと言われており、「小樽の漁師を待つ妻たちが、船を見下ろした」ことから船見坂と呼ばれるようになったそうです。

住宅街と坂の下にある三角市場や中央市場とを結ぶ重要な道として小樽市民に親しまれており、中央通よりも漁港の風景やそこに住む人たちの日常を垣間見ることができます。

また、名称通りに小樽港に停泊している船を見下ろせるため、映画やドラマのロケ地などとしてもよく使われています。

ただし、道の傾斜は15%(約8.5度)となかなかハードです。全長自体は短く、バスなどの交通機関も多いので、無理のない程度に坂道を楽しんでみたい人にはお勧めです。

 

2)体力勝負!「地獄坂」と「励ましの坂」

小樽でも”しんどい坂”代表といえる坂道を2つご紹介します。

◆地獄坂
「地獄坂」は小樽商科大学に向かう「商大通り」にあり、夏になると自転車愛好家が全国から腕自慢(脚力自慢)に訪れることでも有名な坂です。

坂の起点は勾配10%程度ですが、大学の正門前辺りに来ると急に傾斜が増します。明治時代の大学草創期、教授陣や学生が、冬は深い雪を漕ぎ分けるように、夏は汗をかきながらこの坂を上っていたことから付いた名だそうです。今では坂の両側に民家が立ち並んでいますが、当時は建物がほとんど無く、冬は吹き曝しで除雪もされないために、大変な苦労をして通っていたそうです。

道沿いにカフェや雑貨店などもあるので、勾配の割には気分転換しやすく、近くにはカトリック小樽教会 富岡聖堂(旧カトリック富岡教会)もあるので、坂道観光をしながらだと、あっという間に登りきれるかもしれません。

 

◆励ましの坂
手宮のバスターミナルから手宮公園や小樽稲荷神社方向へと登っていく坂道で、手宮小学校を過ぎたあたりから勾配がきつくなってきます。

観光スポットというよりは市民の生活道路という色合いが濃い道で、最大斜度は24%(約13.5度)というスキー場のゲレンデさながらの勾配があります。これだけの傾斜ともなると、下りも一苦労。すれ違う人々がお互いをねぎらいあったことから「励ましの坂」と呼ばれるようになったそうです。

休憩がてらに振り返ると、反対側の山の斜面に張り付くように広がる小樽の街並みと、その間に延びる十間坂や浄應寺の坂が見えます。ぜひゆっくり景色を楽しみながら、休み休み上ってみてください。

 

3)公共交通手段も織り交ぜて「天狗山」

小樽の地形の傾斜を一番感じられるのは天狗山からの景色でしょう。小樽駅近辺からバスで約17分、そこからロープウェイに乗って山頂へ向かいます。

展望スペースから見る夜景はまさに絶景。一目にして、小樽の街並みに傾斜が多いことが分かる景色を楽しむことができます。

ちなみに、天狗山には冬期間、スキー場もあり、一年を通して様々な楽しみ方ができるのも魅力の一つです。

 

小樽の坂には歴史が詰まっている

坂の一つ一つに名前がついており、それぞれに歴史が詰まっています。

小樽が海やガラスの街として広まるまでの過程や、道の両脇に広がっている情緒ある風景に思いを馳せながら歩くと、「単に坂道を登った」という経験以上に思い出が感じられるでしょう。

ぜひ時間を多めに確保して、坂道を堪能してください。



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