小樽情報
小樽情報

ロマンあふれる古代アート★手宮洞窟

2019年08月10日

北海道には縄文時代の遺跡や遺構がたくさんあるのですが、小樽にも国指定の史跡「手宮洞窟」があります。今から1600年ほど前、本州ではすでに縄文時代が終わり、弥生時代から古墳時代へ移行しつつあった時期でしたが、北海道ではまだ「続縄文時代」と呼ばれる狩猟採集の生活様式が続いていました。「手宮洞窟」内には、その頃の人々によって刻まれた貴重な彫刻が残っています。

発見当時からしばらくは古代文字ではないかという説もありましたが、類似性が認められる隣町・余市町の「フゴッペ洞窟」の発掘調査結果などから、文字ではなく絵(刻画)であることが分かってきました。また、洞窟内には生活関連の遺物が少なかったことから、ここが生活の場ではなく、祈りの場だったのではないかとも考えられています。

手宮洞窟には、角のある人、杖のようなものを持った人、四角い仮面のようなものをつけた人など、「人」を描いたと思われるものがたくさん刻まれているのですが、これらは当時のシャーマン(呪術師)だったのではないかという説が有力です。特に、この「角を持つシャーマン」は、かつて広く北東アジアからシベリア周辺で見られた習俗だったことが分かっているので、続縄文時代に小樽近辺にいた人々が、海を挟んだ北東アジアやシベリアの人々と交流があった可能性を示しているのではないかと言われています。

当時の人々が海を渡って遠くの人々と行き来していたという説は、壮大な古代ロマンを感じさせますね。手宮洞窟の近くには、手宮公園や小樽市総合博物館などもあるので、小樽にお越しの折には手宮地区にもぜひ足を伸ばしてみませんか?



関連記事