桜の季節が終わり、初夏に向かう頃に、北海道ではライラック(フランス語でリラ)が咲き始めます。桜の頃に「花冷え」という言葉があるように、ライラックが咲く頃に急に寒くなることを北海道では「リラ冷え」と呼びます。いわゆる、「寒の戻り」のことです。
リラ冷えという表現は、1960年代から俳人の故 榛谷美枝子さんがご自身の俳句の中で季語のように使いはじめ、北海道出身の作家・故 渡辺淳一さんが1970年代に発表した「リラ冷えの街」という小説で一般に広まりました。北海道のこの時期の急な冷え込みを表現する美しい言葉です。
ライラックはヨーロッパ原産で、涼しく乾燥した土地を好む木なので、北海道の風土にも適していたようで、公園や民家などにもたくさん植えられています。花の色は紅紫色のものが最も多く、白やピンク、青みのある藤紫色などの花もあり、5月下旬から6月にかけて比較的長い期間、可憐な花を咲かせます。
2016年に開業した北海道新幹線の車体のラインにも、ラベンダー、ライラック、ルピナスなどから想起された紫色(彩香パープル)が使われたように、ライラックは北海道を代表する花の1つです。小樽市内でも、街角や民家の庭先などあちこちに咲きますので、これからの季節に小樽にお越しになる方は、ぜひライラックにも注目してくださいね。また、リラ冷えの寒さにも充分備えてお越しください。