2020年08月23日
小樽公園は、街の中心部の高台にある23.5haの丘陵公園で、古くは「花園公園」と呼ばれていました。小樽市内を一望できる天狗山から眺めると、市街地の真ん中あたりにこんもりと木々に囲まれた大きな丘が見えるのですが、これが小樽公園です。小樽公園より海側にある小さな丘には水天宮があり、小樽公園と水天宮は公園通りでつながっています。
小樽公園は、かつて運動場や遊園地があった場所に明治33年(1900年)に開設された歴史ある公園で、日本人初の公園デザイナー・長岡安平が設計しました。園内には図書館、庭球場・弓道場、市民会館、体育館など、市民が利用する公共施設がそろっています。また、桜が約1,000本、ツツジが約3,000本、藤棚などもあり、春には花見客で大変混み合います。
この公園の最大の見どころは、北海道唯一の屋外能楽堂「旧岡崎家能舞台」です。新潟出身の豪商・岡崎謙氏が入舟町の自邸内に建てた入母屋造の能舞台で、大正15年(1926年)に竣工しました。
能舞台としては国立能楽堂よりも高い格式を備えています。舞台用材として佐渡の神代杉や九州産檜などを使い、鏡板(舞台正面の羽目板)の老松や唐獅子も、わざわざ狩野派17代目狩野秉信(もちのぶ)を呼び寄せて描かせたものです。
昭和29年(1954年)に岡崎氏の死去に伴い小樽市に寄贈され、昭和36年(1961年)に現在の場所に移設されたのち、昭和60年(1985年)に小樽市の歴史的建造物に指定されました。毎年夏季には期間限定で一般公開されます。※2020年度夏季公開は中止
能楽堂に隣接している旧小樽区公会堂も歴史的建造物に指定されています。海運業で財を成した藤山要吉氏が、明治44年(1911年)に当時の皇太子(のちの大正天皇)の宿泊所として寄付した建物で、正面玄関には皇室の菊模様の浮彫があります。小樽の棟梁・加藤忠五郎氏が施工し、御殿、本館、付属建物からなる和風様式で建てられています。
その後公会堂として使われ、昭和35年(1960年)に現在の場所に移され、同じく移設された能楽堂を増設して今に至ります。
小樽公園内にはほかにも、数か月間小樽の新聞社で働いていたことがある石川啄木の「こころよく我にはたらく仕事あれそれを仕遂げて死なむと思ふ」の歌碑があります。また、子供が遊べる遊具がそろった「こどもの国ゾーン」もあるので、休日には家族連れで賑わいます。
日本庭園を中心に、秋にはシラカバなどの紅葉も楽しめますので、ぜひ季節毎に訪れてみてください。