2024年10月07日
この時期になると小樽市内にある川のいくつかでは、鮭が遡上する姿が見られます。
グランドパーク小樽から歩いて行ける距離のところを流れている『勝納川』は、天神方面から奥沢、真栄、そして、ホテルがある築港・勝納エリアを通って小樽港へと流れている川で、海の方から遡っていくと途中に階段状になっているところが何か所もあったり、石や岩がゴロゴロとしているところもあるので、遡上する鮭にとってはかなりハードな旅路になっています。
鮭の中には、産卵・放精のために免疫力が低下してしまい、水カビ病に感染して体の一部が白くなっているものもいます。また、石や岩にぶつかって傷だらけになっているものもいるので、遡上中の鮭に出会うと、つい力を入れて応援してしまいます。産卵・放精後、だいたい数日以内に死んでしまうものが多いので、残り僅かな命をかけて、全力で川を遡っていく姿は感動的でもあります。
一般的に鮭は、孵化後にプランクトンなどを食べながらしばらく川で生活し、春先に川を下って海へと旅立ってゆきます。その後、だいたい4年前後広い海を回遊し、必ず生まれた川に戻ってきます。これは「母川回帰」という習性だそうですが、成魚になって母川に戻って来ることができるのはほんのわずかです。
北海道にとって鮭は特別な魚です。古くは縄文時代から食料とされており、アイヌ文化の時代には交易品としても利用されていました。現代においても、鮭は北海道を代表する大切な食材で、石狩鍋やちゃんちゃん焼き、イクラ丼など、北海道の郷土料理にもたくさん用いられています。
その鮭があまり獲れなくなってしまった時期があり、北海道ではカムバックサーモン運動などが展開され、漁獲資源の安定的な確保のため採卵したものを人工的に孵化させ、稚魚を放流する川が増えました。しかし、近年勝納川で稚魚の放流が行われたというニュースがないので、この川の鮭は自然産卵・孵化の後に降海し、成魚になって戻ってきているのではないでしょうか。そうだとすれば、鮭の自然な生態を見ることができる貴重な川であるとも言えます。
また、運河・寿司屋通りの近くにある『妙見川』は、観光スポット近くの訪れやすい場所にあるため、この時期になると鮭を一目見ようと多くの人で賑わいます。
『妙見川』は浅い人口的な川のため、鮭の姿が比較的見つけやすくなっています。
他にも朝里川など、鮭の姿が見られるスポットがありますので、ぜひこの時期小樽にお越しの際は、市内を流れる川の中に遡上する鮭の姿を探してみてください。