2023年08月29日
小樽観光の醍醐味といえば「食事」を挙げる人も多いのではないでしょうか。
北海道には新鮮な野菜や海産物があり、美味しい肉料理もあり、どれを食べようか迷ってしまいますよね。
そんな美味しい食事を盛り上げるのに欠かせないのが、「小樽ビール」です。
本場ドイツでは人と人をつなぐ、重要なアイテムとして受け継がれているビールですが、ここ小樽でも美味しい地ビールを味わうことができます。
小樽ビールでは、季節限定ビールなども含め常時数種類のフレーバーを取り揃えていますが、小樽ビールの定番といえば写真の3種類です。
ベースは、北ドイツで日常的に愛されているビールです。
現在のチェコ共和国にある「ピルセン」で開発された製法に由来しています。
小樽ビールでは人為的にろ過するのではなく、自然に酵母が沈殿し味が深みを持つまで待つので、なめらかな飲み心地を堪能できます。
グランドパーク小樽のマリーナバー&レストラン(2階)でも提供しています。▶詳細はこちら
ベースは、バイエルン地方で愛されているビールです。
使っている麦芽の色を受け、濃い茶褐色をしています。
深い色合いと風味が、濃い味の好きな日本人にも受けています。
こちらもバイエルン地方で愛されているビール製法です。
ドイツ語で小麦を表す「ヴァイス」からきており、通常ビールは大麦麦芽を使用することが多いのですが、ヴァイスは大麦と小麦のハーモニーから成り立っています。
バナナのような甘みがあり、夏空の下でサラッと飲むのにも向いています。
現在日本のスーパーやリカーショップでは大手4社によるラガービールの流通が多数を占めています。一気に低温で発酵させるラガービールの製法がより量産しやすく、安定した味を提供しやすかった影響から、日本人の多くが「ラガービール」しか口にしたことがない時代が続きました。
その後、1990年代頃から日本の気候の中で少量から醸造しても美味しくビールを作る製法が確立してきた背景を受け、日本各地で「地ビール(クラフトビール)」が普及してゆきました。
大手メーカーのようには量産できない半面、その地域に愛されるご当地ドリンクとして注目を集めています。
ビールはその製法から「ラガービール」「エールビール」「自然発酵ビール」と大きく3つに分類できます。
さらに、ラガービール、エールビールを細分化すると、約100種類以上に分かれるといわれており、ビールの世界はかなり奥深いようです。
ここでは、大きく分かれる3つの分類を見ていきましょう。
日本の大手4大メーカーから発売されているビールは、ほとんどがこの「ラガービール」。
冷蔵技術が発達していなかった時代、ビールは冬期間に醸造し、一冬かけて熟成させていました。
このため、ラガービールは5℃前後の低温で長時間かけて醸造されます。
キリッとした飲み口と辛味・苦味が特徴で、キンキンに冷やすことでその美味しさが際立ちます。もちろん地ビールでもラガービールに属するものも存在します。
昔ながらの製法で作られており、多くのドイツビールはこのジャンルに含まれます。比較的涼しい気候の地域で作られ、20℃前後の常温において短時間で醸造されます。
フルーツカクテルのような柔らかい甘みを出せたり、苦味が少ないのが特徴で、常温でも味が劣化しにくいのが特徴です。温度管理などの工程の複雑さや経費がかかりますが、それだけ手間をかけた分様々な個性を持ったビールが多く開発されています。
自然発酵ビールはベルギーのごく限られた地方で守られている製法で、その賞味期限も短いため日本ではまず手にすることができません。
小樽ビールは北海道を中心に「びっくりドンキー」などの飲食店を経営する北海道の企業「株式会社アレフ」が、地元の新名物としてビール醸造にも踏み切ったことがきっかけとなり誕生しました。
醸造開始から製法の基準としたのがドイツの伝統製法である「デコレクション醸造法」です。
今では温度計や技術が発達し比較的醸造中の温度管理もしやすくなったため、より効率的に醸造できるようになりましたが、やはり光熱費の面などから大手メーカーのようには量産できないのが現状です。
この味を管理しているのは、「ブラウエンジニア」であるヨハネス・ブラウンという方。
本場ドイツではビールを醸造するための職人を育成する学校もあり、ブラウエンジニアという資格を有してビール醸造を専門に扱う技術者は世界で千人ほどといわれています。
量産できなくても、おいしいビールを作り続ければいつかみんなに愛されるビールになると日々開発・品質管理に勤しんでいるとのことです。
発売当初はあまり知名度のなかった小樽ビールも、味だけではなく飲む雰囲気も含めてプロデュースしたことで地元小樽や札幌近郊を中心にどんどん知名度が上がりました。
小樽ビールのピルスナーは、グランドパーク小樽2階の「マリーナバー&レストラン」でもお楽しみいただけますが、他にも市内の各所で小樽ビールが提供されています。
また、毎年夏に札幌市内で行われる「創成川ビアガーデン」でも提供されていることから、「一度は飲んだことがある」という北海道民も増えてきたようです。
一度口にすると大手メーカーのラガービールに見られる強い苦味があまりなく、木いちごのエキスを含んだ甘いビールやバナナ風味のビールなど味のバリエーションが豊富なことが手伝って、北海道のお土産としても注目が集まっています。
小樽ビールの魅力がわかったところで、実際に造っているところをみたくなりますよね。
手軽に醸造風景を見てみたいなら、「小樽倉庫No.1」へ行きましょう。ビアパブの中に今でも現役の醸造樽が設置されています。
予約不要で、見学自体は無料なので、食事前などにちょっとビールの歴史に触れてみるのもよさそうです。
本格的に見学したいなら「銭函醸造所」の見学コースがおすすめ。
かなり前から予約が必要で、最小人数と料金の設定、及び、見学不可の期間などがありますので、事前に十分に調べてからお出かけください。
住所:小樽市港町5-4 (小樽駅から歩いて行けます)
TEL:0134-21-2323
住所:小樽市銭函3丁目263-19 (JR銭函駅からタクシーで5分)
Tel: 0134-61-2280
小樽ビールの特徴は ” 大麦、ホップ、水、酵母 ” しか使わないというドイツの ” ビール純粋令 ” に基づいて作られている点だそうです。
小樽ビールの歴史はまだ30年弱ですが、これからも小樽の街で受け継がれる味に進化していくことが予想されます。ぜひ旅のお供やお土産の候補に加えてください。
※当記事は、2017年に投稿したものに加筆修正したものです。