小樽情報
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小樽で使われている北海道弁

2019年04月07日

4月から、NHKの新しい朝のドラマが始まりましたね。今期は、北海道・十勝がドラマ前半の舞台になっているので、北海道ならではの方言やイントネーションがテレビから毎日流れてきています。

北海道弁は、使う言葉自体は標準語と同じでも、その発音やインネーションが異なっているとか、一部が変化しただけというケースが多いようです。たとえば、カーリングチームが多用したことをきっかけに流行した「そだねー」も、「そうだね」から派生したものですし、インスタントラーメンの商品名にもなっていて、文末に付けて使われる「〇〇っしょ」も、「〇〇でしょう」のバリエーションです。

北海道は日本全国から人が集まって構成された地域で、広さも九州の2倍以上あるので、北海道全体で共有される共通方言は多くありません。地域も年代も違えば使う言葉も違う場合が多いですが、色々ある北海道弁の中から、小樽市内でよく耳にする言葉や言い回しを集めてみました!

▶アクセントが違う
使う単語が同じでも、アクセントが違っているケースが多々あります。例えば、「猫」、「傘」、「雨」などの2文字の言葉は、後ろの方にアクセントを置いて「ね」「か」「あ」と発音する人が多いので、「雨」と「飴」が同じように聞こえます。また、「テレビ」や「小樽」、「まさか!」など3文字の言葉は、真ん中にアクセントを置いて「テビ」「おる」「まか!」と発音する人がたくさんいます。

▶過去形になる
年配の方の中には、電話に出るときに「はい、佐藤でしたー。」とか、電話をかけるときに「どうもー、田中でしたー。」と、なぜか過去形で名乗る人がいます。お店の人がよく使う「〇〇でよろしかったでしょうか?」や、夜の挨拶の「お晩でしたー。」など、現在のことでも過去形が使われているのをよく耳にします。

▶命令形が「れ」で終わる
通常「~ろ」で終わる命令形の言葉が、「~れ」で終わるケースが多いです。例えば、「投げろ」が「投げ」、「捨てろ」が「捨て」、「見ろ」が「見」、「食べろ」が「食べ」、「寝ろ」が「寝」など。小樽では、「~をしろ」と言うときに、「~をすれ」と言う人もいます。

▶文の終わり方
・「~っしょ」:「~でしょう」の意味なので、例えば「これ、いいでしょう?」が、「これ、いいっしょ?」となります。
・「~でない?/~でないかい?」:「~じゃないの?」の意味なので、例えば「これでいいんじゃないの?」が、「これでいいんでない?/これでいいんでないかい?」になります。
・「~(だ)べ/~(だ)べさ/~(だ)べや」:特に年配の男性が、断定や疑問の「~だろう/だろう?」といった意味で使います。「寒いべ」、「寒いべさ」、「寒いべな?」、「寒いべや」など。

▶遠まわし表現
北海道の独特な言い回しで、「ボタンが押ささらない(=ボタンを押しているのに反応しない)」、「このペン、書かさらない(インクが出ないので書けない)、「メールが送らさらない=(送信できない)」といったものがあります。自分にはそうしたいという意思があるにも関わらず、不可抗力でそうすることができないという「状況」を伝える表現です。悪く言うと、自分に責任がないということを暗に主張する表現でもあります。

また、例えば「箱が置かさっててドアが開かさんない(誰かがドアの前に箱を置いたせいで、ドアを開けることができない)」とか、お店で「500円引かさってないよ(あなたは、500円割引処理するのを忘れていますよ!)」など、誰かを直接責めずに、ただそうなってしまっているという「事実」だけを伝える優しい言い回しでもあります。

「見らさる(見るつもりはないのに、見てしまう)」とか「食べらさる(つい食べちゃう)」とか、とにかく多様なバリエーションが存在しているのですが、そのニュアンスを標準語で表現するのはなかなか難しいようです。

▶標準語にはない便利な言葉
・うるかす:水につけておくという意味で、「お米をうるかす」「使った食器をうるかしておく」というように使います。
・いずい:異物感があって不快な状態。コンタクトが目に合わないときや、目にホコリが入った時などに使う人が多いです。
・あずましい:居心地が良いといった意味で、英語のcomfortable とか cozy の方が近いかもしれません。反対語の「あずましくない」は、居心地が悪いとか落ち着かないという意味です。
・てんをきる/てんきる:トランプのカードをよく混ぜること。

▶地元で使う食材名・料理名
お店のメニューにも地元の食材名が使われている場合が多いので、ぜひ旅行の際の参考になさってください。
・とうきび=とうもろこし
・冷やしラーメン≒冷やし中華 ※タレや具材が違うという意見もあります。ちなみに、「ラーメンサラダ」という料理もあります。
・たち=白子
・あきあじ=秋鮭
・かすべ=エイ
・ザンギ≒唐揚げ ※ザンギと唐揚げは違うと主張されている方もいらっしゃいます

▶紛らわしい表現
・あしたあさって:明後日のこと。「あしたあさって、暇?」と聞かれると、明日と明後日両方暇なのか?と聞かれているように思うのですが、実は明後日のことを聞かれています。一部では、明日または明後日という意味で使う人もいるので、さらに紛らわしいです。
・走って歩く:走り回るの意味。「こら!走って歩くんでない!」などと子供を叱ったりするときに使われています。けして、「走ったり歩いたりするな」という意味ではありません。
・いたましい:もったいない。惜しい。「気の毒だ」とか「悲惨だ」という意味の「痛ましい」とは違います。
・ゆるくない:(仕事や労働などが)きつい・大変の意味です。
・なげる:捨てる。若い人でも「ゴミを投げる」といいます。
・手袋をはく:手にはめるのに、「はく」という人がいます。
・ガスがかかる:濃霧。ガスが充満しているという意味ではないです。「今日はガスってるね~(今日は霧がかかっているね~)」という風に使います。

▶伝わりにくい言葉
・げっぱ/げれっぱ:最下位
・ちょす:触る
・ばくる:交換する
・がさい:恰好わるい。
・めっぱ:ものもらい
・観楓会(かんぷうかい):秋の慰安旅行や宴会。紅葉狩りを目的にしているわけではない場合も、このような風流な呼び方をします。

▶その他
・サビオ
:どのメーカーのものでも、傷に貼る絆創膏のことは「サビオ」と呼びます。「あ~、血が出た~。サビオある?」
・へんなとこ入る:飲み物や食べ物が気管に入ってむせると、苦しそうにむせながら必ず「あ~、へんなとこ入った」と言います。

小樽でよく耳にする言葉や言い回しでも、北海道内の別の地域に行くと全然使われていないというケースや、その逆も多々あります。

小樽の人の言葉は、一瞬ぶっきらぼうに聞こえるかもしれませんが、とてもフランクで温かみのあるコミュニケーションを生む言葉なので、ご旅行などで小樽にお越しの際には地元の人の話す言葉にもぜひ耳を傾けてみてくださいね!



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