小樽情報
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ストーンサークルの密集地★縄文時代の小樽

2020年07月08日

北海道は、北東北3県と共に、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産への登録を目指しています。北海道内でこの世界遺産への登録候補となっているのは、函館市(大船遺跡・垣ノ島遺跡)と、千歳市(キウス周堤墓)、伊達市(北黄金貝塚)、洞爺湖町(入江・高砂貝塚)の各遺跡で、森町の鷲ノ木遺跡(ストーンサークル)も関連資産として挙げられています。

2019年、日本国内の文化審議会世界文化遺産部会において、「北海道・北東北の縄文遺跡群」が2019(令和元)年度の世界文化遺産推薦候補に選定されたので、いよいよ北海道から2つ目の世界遺産誕生へ近づいてきた段階にあります。

この縄文遺跡群は、縄文時代の草創期から晩期に至るまでの、「津軽海峡を挟んだエリア」の遺跡が選定されていますが、北海道には他にもたくさんの縄文遺跡が残されていて、もちろん小樽市内や近郊にも縄文遺跡が数多くあります。

ここでは、市内と隣町・余市町にある環状列石(ストーンサークル)をまとめてご紹介します。

◆忍路環状列石(ストーンサークル/小樽)

国指定の史跡で、今からおよそ3,500年前の縄文後期のものです。三笠山の標高20mほどの斜面を平らにならし、最大直径33mの楕円形に石が配置されています。1-2mある大きな石が丸く配置されている外側に、小さい石が配されているため、二重・三重の環状になっています。また、中心部には何本か割石が立てられています。

江戸時代に発見され、明治時代には発掘調査なども行われているため、日本国内において最も古くから知られ、日本の考古学史上において学術的調査・報告が最初に行われた環状列石だと言われています。

隣接する忍路土場遺跡では水場遺構など生活の場であった痕跡が発見されており、膨大な数の土器や石器のほか、低湿地のため木製品や漆工品など有機質の遺物も状態よく保存されていました。また、祭祀的な遺物とも考えられる巨大木柱も発掘されています。

◆地鎮山環状列石(ストーンサークル/小樽)

上記の忍路環状列石から1kmほど離れたところで、少し険しい山道を5分ほど登った標高50mのところにあります。北海道指定の史跡で、こちらも約3,500年前の縄文後期のものです。最大直径10mの楕円形に石が配置されています。中心部近くに小さな石を集めたところがあり、その地下部分1m程の深さの底に石が敷かれていました。ここは、墓の一種だったのではないかと考えられています。この穴がコンクリートで土留めされている点は興ざめですが、遺跡全体はうっそうとした森林の中にあって、神秘的な雰囲気があります。

◆西崎山環状列石(ストーンサークル/余市町)

小樽と余市の境目の標高70mほどの西崎山にある環状列石で、北海道指定の史跡です。この環状列石も約3,500年前の縄文後期のもので、最大直径約17mの楕円形をしています。その中に直径1-2mに石を並べた小さいサークルが7つあり、その1つ1つが墓だったと考えられています。また、この小さなサークルとサークルの間からは、土器や石鏃などが発見されています。また、木々の隙間からは日本海が見えるので、古代は見晴らしがよかったのかもしれません。

近くには、羽や角の生えた人型の壁画で知られる国指定史跡「フゴッペ洞窟」もありますので、ぜひ併せて訪れてみてください。※事前に開館状況をご確認ください

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小樽近郊エリアには環状列石が80基以上も発見されていますので、縄文時代にはたくさんの人が集う一大拠点だったのかもしれません。

ご紹介したストーンサークルはいずれも国道から少し入ったところにあり、特に小樽市の遺跡には駐車場などもないためアクセスに難がありますが、先史時代の小樽エリアに興味がある方はぜひゆっくり時間をとって訪れてみてください。

また、他にも小樽には続縄文時代の史跡「手宮洞窟」があり、こちらもおすすめです。手宮洞窟については、こちらのブログで詳しくご紹介しています。
ロマンあふれる古代アート★手宮洞窟
※事前に開館状況をご確認ください



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