小樽情報
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小樽ってこんなところ⑤ 小樽の歴史2 ~江戸末期から昭和初期~

2021年06月13日

江戸後期から明治、大正、昭和の初期にかけて小樽は大発展を遂げ、「北のウォール街」と呼ばれるまでになります。この時期の歴史遺産が、今の小樽の観光資源として中心的な役割を果たしていますので、ガイドブックに登場するような小樽の観光スポットとしておなじみの場所がたくさん登場します。

◆ニシン漁関連

江戸後期の1800年代中頃から、小樽周辺にも和人がニシン漁のために本格的に進出してきました。ニシン粕が本州の綿花や菜花などの作物の肥料として活用されるようになり需要が拡大すると、漁の規模も大きくなり、北海道と本州の間の日本海側を「北前船」と呼ばれる船が頻繁に行き来するようになりました。

小樽市内に残る「北前船」に関する歴史遺産は、「日本遺産」にも指定されています。こちらのブログで詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。
https://grandparkotaru.com/blog/otaru-info/kitamae-cargo-ship

春先のニシン漁の時期には全国からたくさんの出稼ぎ漁師が小樽に集まってくるようになり、ニシン漁の季節労働者が寝泊まりした大きな番屋がいくつもあったそうです。市内北西部にある祝津エリアには、「北海道有形文化財鰊漁場建築」に指定されている番屋「小樽市鰊御殿」が保存されていて、ニシン漁やニシン加工に使われた道具や、番屋で暮らした人々の生活用具などを見ることができますので、ぜひ訪れてみてください。

小樽市鰊御殿
https://grandparkotaru.com/blog/otaru-info/herring-mansion

また、ニシンの商いで巨万の富を築いた網元や豪商が、「鰊御殿」と呼ばれる豪華な屋敷などを建てました。その代表的なものが、国の登録有形文化財にも指定されている「にしん御殿 小樽貴賓館(旧青山別邸)」です。こちらにもぜひ訪れてみてください。
https://grandparkotaru.com/blog/otaru-info/old-aoyama-villa

◆鉄道関連

1880年(明治13年)には、小樽手宮ー札幌間に石炭輸送を目的とした鉄道が開通します。その後、鉄路は炭鉱があった幌内まで延伸し、石炭や木材、海産物の缶詰などが小樽から大量に積み出されてゆきました。

既に手宮線は廃線となっていますが、線路や遮断機は鉄道遺構として残され、散策路やポケットパークと呼ばれる小公園などが設けられているほか、休憩所として古い駅の面影を残して「旧色内駅」復元され、線路の上を自由に歩くことができる観光スポットに生まれ変わっています。

また、旧手宮駅の構内敷地跡に建てられた小樽市総合博物館本館(旧小樽交通記念館)には、当時の蒸気機関車を復元した「しづか号」も展示されています。

ちなみに、この旧手宮線跡地は、「小樽がらす市」や冬の恒例イベント「小樽雪あかりの路」のメイン会場の1つとしても活用されていますので、鉄道に興味がない方も、知らず知らずのうちに訪れる場所となっています。

◆倉庫関連

鉄道が敷設されたことにより、小樽港には海運の拠点としてたくさんの物資が流通するようになり、その物資を保管するためにたくさんの倉庫が必要となりました。大正時代には積荷の運搬作業を効率的に行うために「小樽運河」が作られ、運河沿いにもたくさんの倉庫が建てられました。

市内には今でも当時建てられた倉庫がたくさん残されており、そのうちの多くが小樽市の歴史的建造物に指定されています。運河と倉庫の組み合わせは、多くの人がイメージする「小樽らしい」景色を生み出していているので、小樽の一番大切な観光資源といってもよいのではないでしょうか?

当時の倉庫が、今では別の用途に利用されているケースも多々ありますので、ショッピングや観光を楽しみながら倉庫の造りもじっくりご覧ください。
https://grandparkotaru.com/blog/otaru-info/otaru-warehouse-history

また、今年度の大河ドラマの主人公・渋沢栄一関連の倉庫も残されています。こちらにもぜひ訪れてみてください。
https://grandparkotaru.com/blog/otaru-info/subusawa-otaru

◆金融関連

急激な経済発展により、最盛期には25行もの金融機関が小樽に支店を出し、小樽は北日本随一の金融都市となりました。

色内大通りや堺町通りと、旧日本銀行小樽支店(現・金融資料館)がある日銀通りが交差する界隈には、小樽が「北のウォール街」と呼ばれるようになった頃に建てられた銀行の建物がたくさん残っています。

現存する銀行の建物の多くも小樽市の歴史的建造物に指定されており、現在別の用途に活用されています。たとえば、旧日本銀行小樽支店は「金融資料館」、旧三井銀行小樽支店・旧北海道拓殖銀行小樽支店は「小樽芸術村」の一部として、旧三菱銀行小樽支店は「小樽運河バスターミナル」、旧第百十三国立銀行小樽支店は「オルゴール堂Ⓡ海鳴楼」の本店、旧百十三銀行小樽支店は「小樽浪漫館」、旧北海道銀行本店は「小樽バイン」といったように、小樽観光やお土産のショッピングなどで訪れることができますので、ぜひ建物にも注目してみてください。

 

小樽は、街が最も華やかだった頃の遺産をうまく観光資源として活用し、今では観光産業を基盤とする街となっています。ぜひ小樽にお越しの折には、時代と共に変化した街の変遷を建物を通してお楽しみください。

▶6回目につづく(近日公開)



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